歯科衛生士がお話しする歯の講座の第6講目です。
新年あけましておめでとうございます。
今年も、藤村歯科クリニック、そしてこの歯っぴークラブをよろしくお願いします。
実体験を盛り込んだマタニティ・小児歯科講座⑥にて、赤ちゃんの指しゃぶりは本能的にするもので、五感を発達させるのに必要なことだとお話ししました。
しかし、年齢が大きくなってからも続くとさまざまな問題が生じてきます。
今回は、年齢が大きくなってから指しゃぶりが原因で起こる問題をみていきたいと思います。
赤ちゃんと母親は、幼児期前半・2歳半で母子分離ができはじめます。
そのため、1歳半頃になると、積み木を積んだり、おもちゃの自動車を押したり、お人形を抱っこしたり、遊ぶようになるので、昼間の指しゃぶりは普通は減ってきて、退屈なときとか眠たいときだけに見られるようになります。
3歳以降や学校へ行く前になると、母子分離がほぼできて、子どもがいよいよ家庭から外へ出ていきます。
それで友達と遊ぶようになると、指しゃぶりは自然と減ってきます。
5歳を過ぎると指しゃぶりはほとんどしなくなるというのが普通です。
ところが、学童期、6歳以後になっても稀に昼夜頻繁に指しゃぶりをしている子が存在するのです。
6歳以降になったら、特別な対応をしない限り絶対にやめられない状態になってしまいます。
その指しゃぶりの頻度というのは10から20%ぐらいです。
指しゃぶりが咬み合わせにどういうふうに影響を及ぼすかというと、前歯が突出する、口が開いて開咬する、歯並びがずれる、この三つです。
開咬で口にすき間ができるとそこに舌を挟むことを「舌癖」といいます。
これが出てきてしゃべるため、サ行、タ行、ナ行、ラ行が舌足らずな音になってしまいます。
そうすると、風邪もひいてないのに今度は口を開いているわけです。
口が渇いてむし歯ができやすくなります。
これらの症状が疑われる場合は歯医者さんで相談して下さい。
乳児期では、とにかくめくじらを立てないで、生理的な行為だから、そのまま経過を見ます。
幼児期前半の時期も、遊びが広がるにつれて昼間は指しゃぶりが減少して、退屈なときや眠たいときに見られるにすぎないから、あまり神経質にならずに生活全体を温かく見守ります。
ただし、指しゃぶりを非常に気にしている親や、1日じゅう頻繁に吸っている、吸い方が強くて指にタコができてしまう、そういう子どもは習慣化する可能性があるので要注意です。
親がのんきに「してもいいよ」としている親は、子どもは指しゃぶりをやらないのです。
親が見てやめさせようと思う子に多いです。
3歳以下でしたら、指しゃぶりは心が落ち着くから安心してさせていいでしょう。
しかし、幼児期後半になってくると減ってきますが、指しゃぶりを止めれず頻繁に行っていると、今度は学童になって癖になってしまう可能性がありますで、専門家に相談してください。
小学校へ行ってから指しゃぶりをしていると、これはずっと続いてしまうので、特別な治療が必要です。
指しゃぶりは3歳頃までは特に禁止する必要がないのです。
3歳以降は、子どもの生活のリズムを整え、外遊びや運動をさせてエネルギーを発散させて、手や口を使う機会を十分増やすようにしてみてください。
一番指しゃぶりが取れないのは寝るときです。
昼寝だとか寝つくときは、子どもの手を握ったり、絵本を読んであげたりして、子どもを安心させましょう。
近頃、保育園で保母さんがタッチケアをすると、子どもが嘘みたいによく寝るといわれています。
そういうふうに触れ合いで防止するということです。
絵本を読むときは、一冊だけと言わないで好きなだけ読んであげましょう。
子どもは、眠りながら夢の中でも読んでもらっている気がして、親の無限の愛情に包まれるということです。
ですから、寝るときに寂しい子がいたら、ぜひ、手を握ったり、いろんなことをして、やめさせるのではなくて自然と忘れられるようにしてあげるといいでしょう。
年齢が大きくなってから指しゃぶりが原因で起こる問題、そのケアについてお話しさせていただきました。
思いどおりにいかない、試行錯誤の育児は私も身をもって経験中です。
今回は実体験を盛り込んだマタニティ・小児歯科講座⑥からに続き、「指しゃぶり」をとりあげさせていただきましたが、正しい知識を身につけて少しでも我が子にとっていい方向に向くように導いていけるようになりたいですね。